フランク・ザッパの音楽はBGMで聞く物ではない。BGMで流そうとしたらおそらく頭が痛くなるだけだ。それはBGMの為に作られていないからだ。
ザッパの素晴らしいカタログは音楽界で音楽オタクの秘伝的カテゴリーに格下げになっている。彼の社会に対する理解は鋭く、洞察力がありながらどこのコメディアンより賢い面白さがある。
息子のドゥイージル以外にザッパの手のこんだロック・オペラを引き継ぐのにふさわしい人はないないだろう。息子ドゥイージルと「ザッパ・プレイズ・ザッパ」のバンドが昨夜のBank Of America Pavilionで行ったショーはまさにその証拠となった。
満員にならなかったにも関わらずボストンのライブはロック界でもっとも実験的な作曲家であった父のジャズ、ファンクやプログレッシブ・ロックをより上手に混ぜ合わせるスタイルを讃えるお祝いであった。
このような楽曲はトップクラスのミュージシャンでないとそう簡単にこなせない。その辺のポップ曲を演奏しているわけではない。
ありがたい事に、強烈なボーカルの持ち主のバークレー大学出身のシーラー・ゴンザレスが参加するオープニングの「Son Of Suzi Creamcheese」から勢いのある「Brown Shoes Don't Make It」までこなす「ザッパ・プレイズ・ザッパ」のメンバーは最高だと確信出来る。
彼女はボーカルの担当だけではなく「Dupree's Paradise」の曲では同時にサックスとキーボードの演奏もし、その後は二つのサックスを同時に吹いたりもした。
ジェーミー・カイムの忠実なギターさばき、ジョー・トラバーのドラム、アーロン・アーンツのピアノとピート・グリフィンのベースで演奏が支えられていた。
「Tiny Lights」ではレイ・ホワイトが登場し、ソールフルなうなり声に続きドゥイージルの強烈なソロが連発。
ホワイトは1976年から参加していたザッパのオリジナル・メンバーだった。彼が登場する事で昔と現在を結び付け、他のトリビュート・バンドとの違いを示した。
シンプルに感じさせる「I'm the Slime」の最初は重たく始まったが、いつの間にかこの8ピースのアンサンブルはお互いを駆け回っていた。
可笑しいと共に無礼で皮肉な宗教に向けたメッセージを含む曲「Dumb All Over」ではフランク本人の映像とライブの演奏を完璧な程に融合した3曲の内の1曲目で、残りはアンコールの「Cosmik Debris」と「Muffin Man」でした。
フランク・ザッパの魂は永遠にロックの世界で生きているから本人の映像を含むのは必要ではなかったけどあってもおかしいとは感じなかった。