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KIKUO (Vo/Gt) YAMAKEN (Ba/Cho) Kentaro Sasamori (Dr/Chop)
待ち焦がれていた人も多いであろう。PIZZA OF DEATHへ移籍し、 14年3月にリリースした3rdフルアルバム『MY MIND IS MADE UP』以来となるDRADNATSの新作が遂にリリースされるのだ。実に4年ぶりである。移り変わりが早いシーンの中で、決して短い歳月ではない。 バンドの流れを振り返れば、『MY MIND IS MADE UP』は横山健がHAWAIIAN6の『ACROSS THE ENDING』以来、約10年半ぶりとなるプロデュースを手掛けたことでも話題になったが、必死に磨きながら己のメロディック・パンクを見つめ直した会心作であり、モチベーションも著しく高まったタイミングにもなった。その勢いのままツアーへも突入し、ファイナルとなった渋谷TSUTAYA O-WESTではワンマンを敢行。意地と誇りを見せつけ、確実によりシーンへ強い訴求力を持ったバンドとなっていった。 その後、まだまだ食い足りないとばかりにライヴ活動に明け暮れ、新作へ向けての制作にも入るが、その最中、16年10月に12年もの間、苦楽を共にしてきたドラマーの殿畑敦士が脱退。バンドの歩みが止まるかに思えたが、同年12月には、YAMAKEN(B&CHO)が、自身のブログで「ビートでパンク・ロックを持ってる」とも評した、笹森 健太郎(Dr)が加入。新生DRADNATSとしてシーンに帰還し、すぐに駆け出したのだ。 17年12月には、バンド名の由来ともなっているHi-STANDARDの『THE GIFT TOUR 2017』にも参加。 音楽とメロディック・パンクを信じ、高まりまくった彼らが現体制として初めて放つ作品、それがこの4thフルアルバム『ONE HiT TO THE BODY』だ。 美しい調べと新たな旅にふさわしい広がりを持つ「Intro」から幕を開け、KIKUO(Vo/G)の高らかな歌声から、爽快なメロディーとDRADNATSの真骨頂ともいえる衝動感がマッチした「Time To Go」へと続くのだが、この時点で伝わってくるバンドの充実度。流行り廃りは関係なく、自らの信じるメロディック・パンクを貫き、強烈に打ち出す決意に満ち溢れ、その混じりっ気のなさが痛快きわまりないのだ。 もちろん、激しさだけではない。全編を通して、サウンド・アプローチとしても多様であり、この4年でしっかりとバンドが前を見据えて歩いてきたことがわかる仕上がり。ザ・ビーチ・ボーイズのリーダーとして知られるブライアン・ウィルソンの幻想的な「Your Imagination」をDRADNATSサウンドへしっかり落とし込み、その懐の深さを見せつけたカバーもあれば、ライヴハウスを狂乱の宴にすること間違いなしな「Dance With Me」、KIKUOとYAMAKENの掛け合いに加え、小気味良い曲展開も気持ちいい「What Is True Freedom?」、そそるベースのフレーズから始まり、緩急のつけ方が冴え渡る「Mistake」、絶妙なテンポでスケールの大きなサウンド・スケールを描いた「Peace For Granted」等々、聴きどころは数多い。 その中でひとつ要注目の曲を挙げるとするならば、やはり「Get Me Back」になるだろう。突出したメロディーの良さは当然として、優しく包み込むところもあれば、自らの意志を叫ぶようなニュアンスもあり、高性能な曲展開や胸を打つコーラス・ワークも相まって、まさしくDRADNATSが誇るキラー・チューンとして浸透する1曲になることは間違いないだろう。クライマックスのドラマティックに響き渡る歌声もたまらない。 リリース後には、4月13日の兵庫・神戸太陽と虎を皮切りに、6月30日の東京・新宿Antiknockまで続く、大規模なリリース・ツアーも予定されており、「またスタートなんだ。まだまだこれからなんだ」と力強く語るメンバーの勇姿を目撃して欲しい。